#060 きっかけは意外なところから?
みなさん、こんにちは。
久しぶりにブログ更新します。
サボってたわけではないのですが、前回更新してからおおよそ1か月経ちますね。
気が付けばずいぶんと涼しくもなってきましたし。
9月に入ってからも雨続き。
なかなか晴れやかな気分になれないので、せめて写真だけでも、と。
涼しくなったのはよいとしても、これだけ日照時間が短いと野菜や果物が高騰しますよね。
食欲の秋が大変になりそうな予感です。
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先日、とある病院での話し。
コミュニケーションってなんだろうなあ、と改めて痛感させられたことがありました。
おなかの調子が悪くて、僕の消化器内科外来に2年以上通院されておられる患者様なのですが
「夕方になると吐き気をもよおす」
「お腹のあたりが熱くなる」
といった症状がずっと続いていて困っておられます。
もちろん、内視鏡検査やCT検査など、いろんな可能性を考えて検査もしましたが、これといった異常所見も見当たらず。薬もあれこれと変えてはみましたが、どれも効果なく、いっこうに状況は改善しません。少し肥満気味でしたので減量するように指導し、それも頑張ってクリアされてこられましたが変化がありません。
みなさん、『不定愁訴』ってご存知ですか?
何となく体調が悪いのですが、検査をしても原因となる病気が見つからない状態のことです。患者さんの訴えはしばしば主観的で、客観的所見に乏しいのが特徴と言われています。この『不定愁訴』で問題となるのが、病気ではないために周囲ばかりか、頼るべき医師の理解も得られにくく、「自律神経失調症」と診断されることも多いことです。
「気持ちの問題ですよ」
「精神的な問題なので処方する薬はありませんね」
とメンタル面ばかりが強調されて、安定剤(抗不安薬)や睡眠剤などで片付けられる傾向にあります。
この患者様については、こういった薬は処方しませんでしたが、結果として少し突き放すような表現をしてしまっていたのかもしれません。それでも、あきらめと期待が錯綜するなか、それでもなんとかしてもらいたい一心で僕の外来に通い続けてくれていました。
先日もいつもと同じ感じで診察を終えて、診察室を出ようとして一瞬立ち止まり、何かを思い出されたかのように僕の方を振りました。
「こんなこと、先生に言っても仕方ないかもしれませんが、ちょっと聞いてもらってもいいですか?」
― もちろんです。聞かせてください。
「実は、家内がかなりの神経質で、しかも私がすることをすべて否定するんです。ちょっと外出しようとしても、私を信用しようとせず、必ず一緒に付いて来る。買い物はもちろん、床屋にもついてくるんですよ。以前は一人で散歩もしていましたが、昨年手術を受けて退院してからは、散歩もできなくなりました。外に出られないんです。どうしたもんでしょうか。」
― そうだったんですか。それは大変ですね。
「これって、ストレスがかかっているんでしょうかね。」
― そうでしょうね。すごいストレスがかかっているはずですよ。そういう背景があったんですね。症状との関連性を医学的に証明することは難しいですが、精神的に負担がかかっているのは間違いありません。
「この状況を変えることはできないけれど、できることはやってみます。」と言い残し、帰っていかれました。
そうだったんですね。これまでの2年間、何をしてきたんだろう、と自責の念にかられました。多少でも突き放すような言い方をしてきた自分が情けなくなりました。この方に対する謝罪の気持ちと同時に、愛おしさが湧き上がってきました。
この話を聞いたからといってすぐに解決法が見つかるわけでもないのですが、別のアプローチから手助けしてあげることができるかもしれません。前出のように「気持ちの問題ですよ」とか完全に見放していたら、こんな話しはしてくれなかったかもしれません。患者さんと医師という関係ですが、2年間お付き合いをしてきて僕のことを少しは信用してくれたからこそ、勇気を出して話してくれたわけでしょうし、つくづく薬だけに頼った診療をしてこなくてよかったなと思ったわけです。
ひとくちにコミュニケーションと言いますが、どこにどんなヒントが落ちているかわからないですもんね。そのヒントを得られるかどうかは、ひとえに信頼関係にかかっているといっても過言ではない、と実感した今日この頃です。
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というわけで、ブログ、もう少し頑張ります。
Medlite C6が入ったので、リピーター限定で肝斑治療としてレーザートーニングを始めました。
一般の方を対象に始める段階には入っていないのですが、このブログを読んで興味のある方は、下記アドレス宛にご一報くださいね。